学校訪問の記録

中学生・高校生の2人の子供(女子)達の父親である私の学校訪問を記録するブログです。意見・感想は私個人のものです。(文中敬称略)

201602 星野学園小学校 学校説明会&公開授業

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西武新宿線の始発・終点駅である本川越駅からスクールバスで約15分。郊外の街の一角にあるのが星野学園だ。実は何年か前、西武線に乗った時によく見かけたのが当校の車内広告だった。当時はまだ知らなかったので、どんな学校だろうとずっと思っていたのだが、この度ついに訪問出来ることになったわけだ。

事前に予約をしていたので、受付もスムーズに通過した。居住地と苗字が記載されたIDを首から下げるのにはちょっと驚いたが・・・。会場は体育館。備え付けの椅子があり、既に大勢の受験生の親で埋まっていた。ざっと見た感じで100人前後かもしれなかった。服装だが、皆がお受験スーツを着用しているというわけではなく、一般的なビジネススーツではない見学者も男女を問わず居た。ジーンズのようなカジュアルな感じの男性も居た。

そして説明会が開始。配布物の確認に続いて、小学3年による琴の演奏。女子が多く、1/3くらいは男子だったと思う。素晴らしい演奏だった。お辞儀も丁寧だし、入退場も列が乱れることがないよう、静かに行っていた。

琴の演奏が終わると、校長挨拶。アクティブ・ラーニングも授業に取り入れている話や、「本校の誇りは、卒業生が社会で活躍していること」との話もあった。卒業生が「(当校を)卒業して良かった」と話すことが自慢だそうだ。失礼ながらだいぶ見た目がご高齢な校長だったが、会話もはっきりしていて、内容もポイントを絞っていて聴き心地が大変良かった。お考えになっていることには新しい、今の時代に合っていることもあり、心が動かされるような感じがした。

続いて、年齢が若そうな教頭がタブレットを持ち、スキー合宿やアクティブ・ラーニングについての説明を行った。レジュメはなかった。スキー合宿には、4年と5年は全員が参加して、6年も3人以外は参加した。大変人気のある行事のようだ。アクティブ・ラーニングについては、校長も語っていたが、当校では以前から取り組んでいたとの説明があった。

「星野学園の考え方」がタイトルのPowerPointスライド・プレゼンが始まった。「全人教育」が教育方針で、「全てが学び」、「知育・徳育・体育」、「偏らない教育(バランス)」、「文武両道」(中高全員がクラブ入部)、「リベラルアーツ」の5点を挙げていた。公共機関についてのマナーの話で、「運賃が半分だから、マナーも半分か、いやそうではない」と話していて、これにはおっしゃる通りと心の中で拍手を送った。

「全人教育」の具体的な取り組みとしては、「人命尊重」、「自立」、「教養教育」、「結果主義を強いていない」、「反省を教えて許す教育」を挙げた。「人命尊重」については、体を動かすことにより、自尊感情を育てる、そして自分を大切にする、他人も大切にすると話し、プール授業について話していた。水深が0m-1m50cmの調節可能なプールも是非ご覧になってくださいとの話もあった。人が嫌がることをしてはいけない、思いやりも持ちましょうとも話していた。「自立」については、例えば、6才には6才の自立があるなど、年齢に応じた自立が大切とのことだった。子供が小さいからと、父母が何でもやってしまうと、大人になってから困るだろうとも話していた。「教養教育」については、挨拶の大切さについての話だった。子供の挨拶が出来ていない理由は、教員が挨拶をしてないからだと話していた。この日は複数の児童が挨拶を明るくしっかりとしてくれた。かなり良い印象だ。「結果主義を強いていない」との話については、結果よりもプロセス(過程)が大切と校長がよく言っているそうだ。努力をすること、コツコツと積み重ねることが大切と話していた。

「星野らしさ」とは「真面目な校風」とのことだそう。そして「はじめませんか、骨太な人づくり」の言葉で、PowerPointスライドは終わった。

続いて、授業見学に先立ち、各教科の担当から授業内容についての説明があった。

国語科の男性教員はPowerPointスライドをiPadで操作しながらのプレゼン。レジュメの配布はなく、予定稿を読んでいるような印象を受けたが、内容はまとめてあり、大変聞きやすかった。目指す児童像は、「言葉の使い手」を育成することで、3つの柱があるそうだ。それは、基本力の育成、読解力x思考力、そして想像力だ。漢字については、星野チャレンジという校内検定があり、外部試験の場合、漢字検定準2級までを多くの児童が取得しているそうだ。更に、星野ことば辞典というのがあり、辞書引きにも力を入れているとの話だった。

読解力x思考力については、特に読書カードの使用や、図書室の活用を通しての読書(読み聞かせを含む)、論理エンジンを使用しての授業に力を入れているそうだ。論理エンジンは、関東地方の小学校で導入しているのは当校だけだそうだ。創造力については、プレゼンやスピーチを経験したり、メモカードやマッピングを通して育んでいるそうだ。

低学年では対話学習を行っていて、理解を深める学習方法を取り入れているとのことで、心内対話、ペア・グループ対話、全体対話の3つの対話の種類があるそうだ。なかなか興味深い内容だった。

続いて算数科の男性教員からの説明があった。こちらもレジュメはなく、PowerPointスライドを使用していた。

まず目標については、「生きるために必要な論理力のある児童を育てたいと考えている」との話があった。学習は3つの柱を中心に行われていて、その3つとは、計算力、思考力、応用力だ。そしてこの3つの円が重なった部分が論理力との図も紹介された。

算数の時間には5分間の計算マラソンを行い、週1回計算テストがあるそうだ。1年の3学期から6年までの算数の時間に、このマラソンが毎回行われる。その6年間でチャレンジする問題数は約2万題だそうだ。更に、星野チャレンジ検定が算数でもあり、面白い点は、全学年が同じ問題に取り組むということだ。学年が上がるごとに正解する喜びが増えるわけだ。九九では100問タイムトライアルがあり、こちらは学年別最高タイムというのが分かる仕組みになっているそうだ。応用問題についての説明でも、校長の話にあった通り、結果よりも過程が大切とのことだった。宿題の裏面にパズルを掲載させているとの話があったが、これは現物を手にとって見たかったな。

国語と算数の教員プレゼンの後は、児童達による「星野っ子スピーチ」があった。5年の女子がまず話をしてくれたが、用意した冊子のようなものを見ながら、はっきりとした明るい声で、宿題などのテーマでディベートを行ったことを話してくれた。続いて中学校の方から2年女子がiPadを持って登壇。生徒会長とのことだ。小学校に妹が在籍しているそうで、姉妹で星野学園に通っているとのことだった。ニュージーランドの学校と交流をしている様子を、ホストファミリーとの写真など、全体的に写真が多いPowerPointスライドを使用してプレゼンしてくれた。ちなみにレジュメはなかった。当校のキーワードは「真面目がかっこいい」ということで、合唱祭が一番気合いが入る行事だそうだ。合唱祭の写真が紹介されたが、それを見る限り、男女比は2:10くらいだった。どの学校もそうだが、合唱とは吹奏楽となるとやはり女子の方が参加するのかな。合唱祭の動画があるそうで再生されたが、音声が出ず飛ばされてしまったのが残念だった。プレゼン後に教員からこの中学2年の女子に質問するというミニコーナーがあり、このプレゼンを作成するのにどのくらいの時間がかかったのかというものだった。答えはなんと3週間。正直、時間をかけすぎだろうと思ったが、大勢の受験生の保護者の前での、堂々としたプレゼンをありがとうという気持ちになった。ちなみにiPadの操作については、中学1年の時に遠足(Field Tripと言っていた)でアップル社に行き教えてもらったそうだ。

この後、小学校についてのプレゼンがあった。女性教員がPowerPointスライドのナレーションをリアルタイムで行うタイプのもので、レジュメはなかった。学校の歴史や教育目標、人命尊重の精神などをすごく細かく説明していた。携帯電話については、学校が指定した機種のみ持ち込み可能だそうで、緊急時は緊急ウェブサイトを活用しているほか、警備員が常駐しているとの説明があった。施設には2日分の全校分の食料と水が備蓄してあるそうだ。プールは学年に合った水深にしてあるとの説明がここでもあった。安全面は徹底しているとの強い意志が伝わってきた。星野ドームはゴムチップを採用していて、その外にあるロッククライミングでは、落下しても怪我をしないように、棒高跳び用のマットが敷いてあるそうだ。もちろん、AEDを用意してあるとの説明もあった。

ここで、3年の琴の授業の動画が上映された。毎週1時間練習をしているそうだ。

行事については、事前学習、体験、教員の評価、振り返りの流れに沿って学習しているそうだ。例えばニュージーランドへ行く前の準備としては、英語で名刺、プロフィール、アルバムの3つの製作を英語で行っているそうだ。帰国後は、思い出絵本やクリスマスカードを製作しているとの話だった。英語教育については他にも、1年の英語のある行事ではケーキを食べることが恒例となっていて、ネイティブ教員がケーキを持っている写真が紹介された。ちなみに4年では京都や奈良へ、5年でニュージーランドへ、そして6年では長崎など九州へ行くそうだ。行事を通しての学びも徹底している。

12年の小中高一貫教育の学校であると強調されていて、その理由として、「先を見通すゆとりが生まれる」とのことだった。全校集会は、星野ドームで行われるそうだ。この後見学して分かったが、星野ドームはそこまで広くないので、それが逆に全校をまとめる場所ということではプラスに作用しているのかなと思った。

そしてようやく各種スピーチやプレゼンが終了して授業見学へ。時間的な余裕があまりなかったので、校内をざっと歩いてまわった感じだったが、一通り見学できたのでそれはそれでよかったが、時間が短すぎた。ツアー型ではなく、自由に見学できたのは良かった。ただし、弾丸セルフツアーになってしまったが・・・

2年の教室にあったのは、上下可動式で湾曲ありの緑色の黒板。廊下には木製のベンチがあった。教室の後ろにロッカーがあり、教室のドアは広い窓がついたスライドタイプだった。外窓も、ほぼ全面ガラスで広々としていた。大型のLCDテレビが1台あった。

当日は利用しなかったが、校内にはエレベーターもあり、車椅子対応で、広いほうだったと思った。

図書室にはたくさんの英語の絵本があった。廊下を歩いていると書き初めが展示してあった。例えば、4年は「大だこ」と書いてあった。

見学途中に、集団で移動中の中学生に遭遇。皆さん、元気よく挨拶してくれた。小学生も、休み時間だったかな、多くの児童が元気に挨拶してくれた。挨拶の感じからしても、真面目そうだなという雰囲気が伝わってきた。

2年B組の授業を、入室して見学した。40代くらいの女性教員の話を、児童達は静かに集中して聴きながら、ノートをしっかりと書いていた。机は、ほぼ同数の男女ペアで座っていて、皆さん体操服で授業を受けていた。ちなみに当校も制服はセーラー服だ。通りかかった中学生の集団は一般的なセーラー服を着用していたが、小学生の校内着は体操服やジャージがあったり、スモッグのような格好もあったりと、ばらつきが見られた。どういった服装の決まりがあるのか分からないが、ここはもう少し学校としての統一感があったほうがいいのではないかと思った。外は雨が降っていたが、教室内は明るかった。

お隣の2年A組の授業を聴こうと入室しようとしたら、何故か大人気で混雑していたので、廊下から見学した。「みんなで決めよう話し合いの学習」ということで、ここも先ほどの教室と同じような雰囲気で、児童達は30代前半くらいかなと思われる男性教員の話を集中して聴いていた。両腕を膝の上に置いて、キチンとした姿勢で聴く児童もいた。この後は、4年から6年の授業を見学したが、教室内に見学者が多すぎて入室出来ず、廊下から見学した授業が多々あった。

4年A組の英語の授業を見学した。男性のネイティブ教員と女性の日本人教員のペアで授業を進行していた。

ちなみにパソコン室には、4:3サイズのDell製モニターとデスクトップパソコンがあった。1人1台で、当教室では上履きを脱いでいるようだ。

別の教室では、先ほどのネイティブ教員が、少人数で英語の授業を行っていた。男女比2:4の6人での授業で、「How do I use ___?」や、「How old are you?」といったことを、米国英語と思われるイントネーションの英語で授業を行っていた。

音楽室には入室して見学。入った瞬間の感想が「広い!」だった。これまでの学校見学では一番広い音楽室だと思った。とても広くて明るかった。若い女性教員が2人で、鍵盤ハーモニカやリコーダーを使用して、30人強(若干女子の方が多かった)の児童と、ピーヒャラヒャラと授業を行っていた。ちなみに、当校の図工室や書道室も広かった。芸術教育にも力を入れている証拠だろう。

2階には個別相談コーナーやお茶コーナーがあり、温かい缶のお茶が頂けた。寒い日だったので大変ありがたかった。5年のニュージーランドへ行ったことについての冊子があったが、英語力が結構高いなと思った。冊子に描いてある絵も可愛かった。

プールもすごいの一言。綺麗だし明るい。電子水深表示あり、行った時は1.2メートルで、男性教員2人がちょうど泳いでいた。6コース分の大きさだったが、広さについては一般的なのかもしれない。ただ、明るくて綺麗だったので、それだけで広く見えていたのかもしれない。

ロッククライミングも星野ドームも本格的な施設だった。ただ、今日のように天気が悪い日も外の空気で授業出来るということだ。それが児童生徒にとっていいことなのかは微妙だ。小学生の授業の隣では、中高の男子生徒達が授業かどうか分からなかったが活動していた。ロッククライミングだが、こちらは雨が降っていたので、誰も登っている児童生徒は居なかった。当然見学者も登ることが出来なかったが、晴れていたらついつい登りたくなり、自分だったら実際に登ってしまっていたことだろうなと思った。

給食室らしき部屋もあり、白いユニフォーム姿の女性達が作業をしていた。今日は何度か廊下ですれ違ったが、その度にその女性達が挨拶をしてくれた。当日見かけた警備員は1人だったが、その女性警備員も行きと帰りに挨拶をしてくれた。バスの男性運転手も同じで、行きも帰りもしっかりと挨拶をしてくれた。好感が持てるスタッフばかりだった。普段はなかなか出会うことがない、「縁の下の力持ち」的なスタッフの皆さんだったが、ここまで気持ちが良い対応が徹底して行われている(しかも自然な感じで)のは素晴らしいと思った。

今日の見学で不満があるとしたら、それは時間だ。とにかく短すぎる。素晴らしいスタッフと挨拶ができる児童生徒達、お年だが最新の考えをお持ちの校長と勢いを感じる若い教員の皆さんと、もう少し時間を共有させて頂きたかった。正直そう思った。

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私にとってはずっと謎だった学校を訪問することが出来て良かった。東京からはちょっと遠いと感じたが、勉強好きで真面目で、あたたかい感じの小学校を希望している、埼玉県の小学生には最高の学校かもしれないと思った。ぜひ文化祭などの行事も今後訪問してみたい。いざ保護者になったら、かなり近くに住むか、車が必須だと思うが、それらが最大のネックになるのかもしれない。当校は最寄駅から歩いていくと数十分かかる。路線バスがないようなので、スクールバスが必須だ。路線バスが通ることを願う。

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西武新宿線本川越駅を今回は利用したが、帰りの電車のタイミングが悪く逃してしまった。閑散としているホームで、次の電車を待っている間に見ていたのが、これら近隣の学校の広告だ。意外と多くの学校があるのだなと初めて知った。またこの街を訪問する時は、小江戸と呼ばれている江戸時代の町並みを歩いてみたいと思い、川越をあとにした。

 

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