東京・小平市を流れる玉川上水沿いにある、白梅学園清修中高一貫部を家族で訪問した。こじんまりとした家庭的な小規模の女子校なので、我が家の娘達を連れて行っても、たとえそれが授業の見学会でも、全く問題ない。何度も訪問している学校だからだろうか、「ただいま」と我が家に帰宅したような気分で教員・生徒の皆さんに声をかけたくなるが、さすがにそれはしなかった・・・
白梅幼稚園の隣にある門から敷地内に入り、校内へ。所々に教員が立っていて挨拶してくれるが、受付は1階にはない。階段で2階のミニ相談会が開かれる教室前へ行くと、ここで受付をすませる。来校者用のシールやIDはない。このオープンな感じが良いと毎回思う。
この日は説明会は一切なく、30分程度のミニ相談会の後に授業見学会があった。教員1人が各家族についてくれたので、学校についての一般的な質問や、個別の相談をする機会があった。当日の参加家族は多くても10組弱だったので急かされている感じが全くなく、聞きたいことは全て聞けた感じがした。来校者(親)の服装はちょっと小綺麗な普段着という感じだった。父親も数名いた。児童達はちょっと小綺麗な(?)普段着が多かっただろうか。
ちなみに、今回も受付で1人ずつ飲み物が選べたので頂いた。紙パックのりんごジュース、オレンジジュース、緑茶の3種類があったと思うが、我が家もしっかり(笑)全種類頂いた。私は教員と話をしていたので飲む暇がなく持ち帰ったが、妻や娘達、他の参加者達は飲んでいたので、頂いても飲みにくい雰囲気だったということはない。ちなみに買わなかったが、自動販売機が校内に1台あり、80円のホットお汁粉缶やコーンポタージュ缶が売っていた。
相談会の後は授業見学会。休み時間の開始時からの見学だったが、普段の様子を見学してもらいたいので休み時間も公開していますと、別の教員がアナウンスしていた。この日、我が家はまだ相談会の最中だったので(話が弾みすぎた)休み時間は見学していないが、オープンな感じが良いと思った。
授業見学は自由なので、家族であちらこちら歩いてまわった。高校生の授業は、教員がどうぞと教室内に入ることを勧めてくれたが、静かに集中して学んでそうなので一部パスした。(一部は見学した。)高校1年のモル濃度の授業を見学したくらいだろうか。
相談会の教員が勧めてくれたのが、英語のネイティブ教員による授業だ。当校は小規模だがネイティブ教員が4名もいる。日本人の常勤教員は15名程度、非常勤も10名程度いるそうなので、相当手厚い教員体制だ。
その英語のネイティブ教員の中学2年の授業を見学した。黄色い靴下を履いた、とてもおしゃれな感じの男性の教員で、イギリス系アクセントがあったのでアメリカ人ではないと思う。電子白板(当校には黒板がない)には英語の会話文が表示されていた。そして、4つのチームに分かれて競いあうようなゲームが始まった。ネイティブ教員からチームの1人が文章を聞き、それを他のチームメンバーに伝えて、1人が代表して白板に書くというようなゲームだった。楽しそうに学ぶ様子が見られただけでなく、座っているだけでなく、立って動いて学ぶ方が頭に入ってくるので効果的だとも思った。
最近、歴史に突然興味を示した上の娘が見学したいと言ったので、同じ中学2年だが隣の社会の授業を見学した。モンゴル人の大陸移動の話だった。外からは明るい日光が差し込んでいた。こちらも電子白板を使っての授業だったが、教員と生徒達の楽しそうな会話もあり、明るい雰囲気だった。その教室の後ろには、「一緒に清修を創っていこう!」と書かれた掲示物があった。この日、複数の教員と話をしたが、皆共通して話していたのが、小規模校だからこそ、教職員と生徒が協力して学校を運営している、教員と生徒の距離は近く、「壁」のようなものがなく包み隠さず学校を盛り上げているということだ。この標語が、当校の共同体のようなものを上手く表していると思った。
同じ教室のドアのそばには、掃除「当番表」ではなく、掃除「分担表」が掲示してあった。つまり、曜日別の当番制ではなく、全生徒が分担して毎日掃除をしているということだ。
この日は敷地内にある図書館や、隣の白梅学園高等学校との共有校舎にある保健室も案内してくれた。寒い外を歩いて案内してくれた教員に感謝。図書館には司書が1人常駐していて、蔵書は多くはなさそうだが学校の規模からするとこれくらいでちょうどいいのかなと思った。もっとも、同じ校舎内にあるわけではないので、実際にどのくらい利用されているのかは疑問だが・・・。
保健室は中を見学することは出来なかったが、中高一貫部の校舎の裏口から出て数歩のところにあり、大きな担架も用意されているので、利用するには便利そうだった。隣にはカウンセラー室もあり、生徒だけでなく保護者も利用出来るそうだ。保健室は担当者が常駐しているが、カウンセラーは曜日が決まっているようだ。
共有校舎の1階外を歩いている時に、中の家庭科室では別校である白梅学園高等学校の生徒達が授業を受けている様子が見られた。共有している施設ではあるが、全く別の学校ですと強調していた。メインの校舎は別々なので、関わりは少なそうだ。
さて、何度も訪問していると、ついつい話しすぎてしまうことがあるのだが、一つ、聞いていいのか分からないが聞いてしまったことがある。失礼かなと思いつつも、ずっと疑問に思っていたことだったからだ。帰宅してからも、失礼なことを聞いたなと反省しているが、丁寧に答えてくれた教員には感謝したい。何でも聞ける雰囲気の学校というのも、当校の特徴の一つだと思うが、聞きすぎは良くない。
そして、その失礼な質問だが、大切なのであえてここに書いておく。ネットで検索していると、当校は小規模校で入学時の偏差値が低いことが書かれていることが多い。生徒の自主性を大切にしていて、自由で明るい雰囲気の、のびのびとした校風だがどうやって実現しているのですか?と聞いてしまった。偏差値が低いと言われて嬉しい教員はいないだろ。申し訳ない。偏差値が高い学校、例えば女子なら女子学院や鴎友、男子なら開成は自由な校風で有名だ。それはその偏差値の高さなら、ある程度任せられるという考えがあるからだと思っていた。しかし、今回当校の教員と話をして、それは生徒数が多い学校であればそうだが、小規模校で家庭的な学校であれば、入学時の偏差値など関係がないと思った。
事実、当校の大学の進学先には世間的に名の知れたところが多い。6年間でしっかりと勉強をする、(良い意味で)真面目な感じの生徒が多いのかもしれない。教員によると、姉妹で在学している生徒も複数いるだけでなく、例えば毎日の掃除では後輩が先輩の掃除ぶりを見て、自分もしっかり掃除をしようと言うことになるそうだ。キメの細かい、マンツーマン的な対応が出来ているからだと思った。ひとりひとりの生徒を大切にしているからこそ、それぞれのペースで成長を見守ることが出来る。それはまさに「家族」ではないだろうか。
この日は(他の参加者は見学時間が過ぎたので帰ってしまっていたが)、掃除の時間を初めて見学することが出来た。えんじ色のエプロンを身につけて、生徒達が黙々と掃除をしている。廊下にあるテーブルの椅子のシート面を拭き、椅子を持ち上げてテーブルの下をほうきで掃き、階段辺りではしゃがんで拭き掃除をしていた。明るく、白ベースの校舎内で掃除をする生徒達の姿が美しく感じた。そして、ここは「家(ホーム)」として捉えることが出来ると思った。6年間、学習面だけでなく、食事や掃除などの生活面も含めて、毎日の成長を共にする家族なのだと。教員も自分の子供のように、じっくり、しっかり、身近な存在として、勉強だけでなく生活、人生について時間を共有して、学校を運営しているのだと思った。
時間をオーバーしてこの日の見学は終了。心が温かくなり、学校を後にした。門のそばには白梅が咲いていた。寒い冬空の下、美しく咲く白梅が印象的だった。また訪問したい。
ちょっと時間があったので、玉川上水沿いを歩いてみた。緑が多く、週末だからか静かだった。
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